2006年09月05日

画像サムネイルと著作権 〜 その1

今、立ち上げ中のWEBサイトの関係で、画像サムネイルが著作権にひっかかるかどうかを調べています。特にこの問題が気になり始めたのは、アメリカで Pefect 10 の Googleに対する著作権違反を根拠とした仮差押が認められた、というニュースを見てからです。サムネイルは著作権違反ではないと思っていたが、違うのか。

著作権の専門家でも何でもないのですが、調べたことを少しずつ書いていこうと思います。日米で、著作権法の中身も違うのですが、まずは判例が比較的多いアメリカの事例を調べています。

Perfect 10 の話の前に、まずはこの問題の先例となる Kelly v.s Arriba Softのケースを見てみました。以下、概略です。
(参考:Wikipedia 及び 関連資料

事実関係

Kelly という写真家が、自らのウェブサイトに乗せていた写真画像のサムネイルが、Arriba Soft (現在のditto.com)の画像検索結果に載っているのを、著作権違反だとして訴えた、というのが訴訟の経緯です。

結論

画像サムネイルについては、著作権違反ではない、という結論がでました。

理由

著作権者は、自らの著作物を表示、コピーする排他的権利を持つわけですが、アメリカの著作権法では フェアユース(fair use)という概念で、この権利に例外を設けています。著作権の法的な意義は、創造性を促進することであって、過度の著作権保護は創造性を阻害する、という考えの下につくられた概念です。このケースで言えば、Kellyの権利を過度に保護すると、画像検索という創造物は成り立たなくなるわけです。

フェアユースの適否は、4つの要因を比較考量して決められます。以下に4つの要因と、このケースでの判決結果を整理します。

(1)the purpose and character of the use(利用の目的及び性質)


この点でまず重要なのは、利用目的が商用利用か否かということです。Arriba Softの場合は、明らかに商用利用でした。しかしながら、仮に商用利用であっても、それが既存の著作物に新たな価値を付け加えるものであるなら、フェアユースに該当する可能性が出てきます。というよりも、これこそフェアユースという概念のコアです。

Arriba Soft の場合は、Kellyの写真のサムネイルを、画像鑑賞目的ではなく、画像の検索目的のために利用したのであって、元画像を超えた価値を社会に提供しているとして、この点に関してはArriba Softに有利としています。

(2)the nature of the copyrighted work(著作物の性質)

著作物が単なる事実・思想である場合には、著作権の保護対象にはなりません。このケースの場合は、Kellyの作品は単なる事実・思想ではなく、より創造的な要素を持っていますので、この点ではKellyに有利となります。

(3)the amount and substantiality of the portion used in relation to the copyrighted work as a whole (利用の範囲)

著作物の部分的なコピーは合理的な範囲内で許される可能性があるわけですが、著作物の完全なコピーは”基本的には”フェアユースに反します。ただし、それも利用の目的と性質による、としています。

Arriba Softは、サムネイルとはいえど、画像全体のコピーを行ったわけですが、それは画像検索という目的上、合理的であり、この3番目の要因はArriba Soft/Kellyのいずれにも有利にならない(つまり中立)としています。

(4)the effect of the use upon the potential market for or value of the copyrighted work (著作物の属する市場への影響)

Kellyは写真画像を他サイトにライセンスする、もしくは自らのサイトの広告掲載で収入を得ています。もしもArriba Softのサムネイル画像が、これらのマーケットを侵害する可能性があるなら、フェアユースにならない可能性があります。

しかしながら、Arriba Softはサムネイル画像を検索結果に表示することによって、Kellyのサイトにトラフィックを誘導することはあっても、Kellyのビジネスを侵害することにはなりません。よってこの点でも、Arriba Softの有利となります。

以上の4点を総合的に見て、Arriba Softのサムネイル画像の利用は、フェアユースと判定されました。

次に考えること

@Googleへの仮差押はなぜ認められたか?

上記のような判決があるにもかかわらず、Googleへの仮差押はなぜ認められたのか?ちらっと差押の根拠を詳しく読んでみましたが、Arriba Softのときとは違う要因が幾つかありそうです。それは次回のエントリーで。。

A日本ではどうなのか?

上記の判決の論理をそのまま日本の画像検索サイトに適用すると、けっこう危ないサイトは幾つかあります。例えば、Yahooの画像検索は、サムネイルとは言えないサイズの画像を表示したり、画像に直接リンクをはっているので。。。

日本の著作権の勉強をもう少しした後に、考えてみたいと思います。

タグ:著作権
posted by TAI at 22:08| Comment(1) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
役に立ちました。ありがとうございました。
Posted by 誠意たいしょうぐん at 2007年11月26日 00:47
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